仮説をたてるというステップは、インプットからアウトプットへと切り替えるステップです。
この後ここで立てた仮説をもとに商品やサービスを制作するため、今後の方針や道筋を決めていく重要なステップとなっています。
では、仮説を立てるとは具体的にはどういうことなのか、を説明いたします。
仮説を立てる際にまず取り組むのは、多くの課題の中から「今、自分たちが取り組むべき課題」を絞り込むことです。ここで大事なのは自分たちが持っている力(例えば人数や時間、予算など)で取り組める、小さくても重要で波及効果のある課題を選び取ることです。
そして、選んだ課題に対して具体的な取り組み方のプランを考えます。
デザインでいう仮説とは、抽象的なものではなく実践のための提案です。例えば商品開発などであれば「こんな狙いで、こんな人に向けて、こんな人が喜んでくれる」といったことを思い描いて道筋を持ったプランを作っていきます。
仮説を立てる際、作ろうとしている商品やサービスが
これらを押さえると、取り組みの狙いが定まります。
ここまで、仮説を立てるとはどういうことなのかを説明いたしましたが、一口に仮説を立てる、と言ってもそれが本当に自分たちが動かせるものでなくてはいけません。
そんな、自分たちが意思と実感を持って動かせる仮説を立てるためには、まず、ゴールまでの道筋を描くこと。そこから何が大事で、何が目的で何が手段なのかを、関わる人々に共有することが必要です。
次に、とにかく動き始めることも重要です。私の実体験では、グループで仮説について話あうと必ずといっていいほどこれでいいのかという沈黙の時間が多くなってしまいます。ですが、立てる仮説に絶対の正解はありません。だからこそ、失敗しても再スタートが切れるということを念頭に入れ、小さな課題から挑戦していって自分たちの理想とする、正解だと思える仮説を作り上げていきます。
では、実際に仮説を立てるときの手順を7工程に分けて見ていきましょう。
まず初めは、小さな課題を選ぶことが重要です。
見栄えの良い大きな課題は計画倒れになってしまうかもしれません。自分たちの動きが具体的に想像できる実現可能な課題を選ぶことを意識しましょう。
次に、複数人でのアイデアワークショップを行います。
ここでは、集団発想法であるブレインストーミングが効果的です。
3つ目に、ブレインストーミングで出されたアイデアをブラッシュアップしていきます。
私もよく遠慮しちゃうのですが、人が出した案に自分の手を加えることを躊躇う人は多いと思います。ですが、みんなで出したアイデアは共通の素材なので、「〇〇さんの考えた案だから・・・」と躊躇せず、自由に加工していきましょう。
4つ目は、現場に伺い当事者の方々と一緒に発想していきます。
リラックスした環境に身を置くことで、人との距離が縮み、話が進みやすくなるかもしれません。
5つ目は、本当に自分自身がそれでいいのかを自問します。
これまで、いろんな人の意見を見聞きしてきたため自分の意思がブレているかもしれません。今まで考えてきたアイデアが本当に自分1人でも採用するものなのか吟味しましょう。
6つ目も、5つ目同様に1人で考える時間を設けるのですが、これは関わる人全てに対して行います。
「1人で」と言っているものの、参加者の中には人と話した方が考えられる人もいらっしゃると思うので、参加者の人たちにあったやり方で行います。
最後に、自分の考えがわからなくなってしまった時は初心に返ってみましょう。
自分がこれまで感じてきた言葉にならない感覚を思い起こして、もう一度自分の考えをまとめていきます。
「動機のデザイン」の視点で仮説を立てる際に特に重要なのは、「適度な小ささの課題を選ぶこと」。そして、人々と発散的にアイデアを考える作業と、一人一人がじっくり考えてアイデアを自分のものにする作業を何度か繰り返すことで関わる人が自分の意思を込めた仮説にしていくことです。
小さな課題を選ぶのって意外に難しいし、意識しないとできないことだと感じました。
デザインにおける仮説は実践可能なものにしなければならないという点も、私の場合はついつい大きな仮説を頭の中に描いてしまいがち。 まずは身近な人に発表できる、実践してもらえるような課題から取り組んでいくことが大切だと感じました。