成安造形大学 大草ゼミ

出版記念イベント@成安造形大学 2022.7.1-1

ステップ❶ 内外を観察する

最初のステップ・「内外の観察」について詳しく見ていきましょう。

まず、このステップを「動機」という視点から見たときに重要なことは、参加しているメンバー一人一人が「自分の感性を使って観察する」ということです。

ここでのポイントは大きく2つあります。

1つは、「現場の当事者一人一人のアンテナを大切にする」ことです。

まず実態の調査や情報収集をしましょう、となった時に、多くの場合、現場の方達は、プロの専門家に任せておけば安心なんじゃないか、自分たちが関われることはないだろうという風に考えがちです。しかし、動機のデザインにおいては、専門家だけでなく現場の方達も一緒にナマの情報に触れて、観察をすることがとても大切です。

外部の専門家ではなく、日々の現場の状況をよく知る当事者にしか見つけられない気づきは大きな意味をもっています。

2つめのポイントは、「一人一人が課題と出会い、自分を使った関わり方を見つける」ことです。

当事者自身が実感を得ることができるかどうかが、その後のステップに大きく影響してきます。そのため、専門家 vs 現場の人たち と言う構図ではなく、双方が一緒になって取り組むと言う構図にすることで、より現場の当事者にとって自分事として捉えることができるようになっていきます。

最終的に目指すのは、現場の当事者一人一人に「自分なりの関わりかた」を見つけてもらうことです。

では次に、ステップ1で動機のデザインを実践する上での具体的なコツや動きを見ていきます。

実践1:自分のセンサーで見つけよう。

「自分のセンサー」とは、なにか観察するものに触れた時、自分の内側でわき起こる様々な感覚に、意識して目を向けることで見えてきます。何が面白くて、何がつまらないと感じるのか。自分自身を観察し、感じ方を明確にしてあげることが、ゆくゆくは自分たちで納得いく判断ができるようになるための土台となります。

その手助けとして、本人も気づかないようなわずかな感覚を拾うサポートをしてあげることが必要です。

実践2:一人一人の感じ方が重要。

現場の当事者は多くの場合、自分以外のどこかに正解の答えがあると言う風に考えがちです。しかし、同じ物事を目の前にして、その場にいる人々の感じ方や注目したところが全く同じことなどありません。全ての答えが正しく、唯一の正解というのは存在しないからこそ、当事者が「自分の感じていること」に目を向けられるようにサポートをしていきます。

実践3:その場に身を投じて観察する

例えば あるお店でサービスを考えたいという場合には、近くの他のお店に行ってみて「お客様」の目線に立って実際にサービスを一通り体験してみます。この実際に身をもって体験していく中でも、どこに何を感じたのか、並行して自分の感覚を観察することがサービスを考えるヒントにつながります。

実践4:感覚のモノサシを育てる

実践を通して自分の感覚を意識していくと、自分なりの「感じ方のモノサシ」ができていきます。お客様に何を伝えればいいのかと煮詰まってしまった時には、「自分がもしお客様の立場だったら、どんなことを嬉しいと感じるのか。」と言うふうに感覚のモノサシを手掛かりにして打開策を見つけて進めていくことができるようになります。

実践5:気づきを口に出していこう

感じたことや思ったことがあっても、「たいしたことではないし、当たり前のことだから発表するのは恥ずかしい」と思ってしまうこと、あると思います。私もグループワークで意見を発表する時にためらってしまうタイプなのですが、実際に蓋を開けてみると全く同じ答えと言うのはふたつとありません。気づきを出し合う中で起こるメンバーの共感や驚きの反応に刺激されて、自然とどんどん思いや気づきが出てくるようになります。

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