成安造形大学 大草ゼミ

出版記念イベント@成安造形大学 2022.7.1-2

ステップ❷ 現状を共有し、課題を設定する

ステップ2ではステップ1の観察で得たインプットをメンバーと共有します。ここでは共有し、整理し、課題を見つけ出すことが重要です。

まず、「現状共有」では、ステップ1で集めたインプットをお互いに共有し、それをもとに現状を共有していきます。ここで考えるべき点が自分たちのこと自分たちの持っている人・技術・予算と、お客様の市場・ターゲット・関係者です。この2つを考えることにより、自分たちの持てる資源を活かして相手に価値を提供するための道筋の出発点が見つかります。

次にやることは、取り組むべき課題の設定です。問題点だけではなく伸ばすべき可能性というポジティブな側面も見ておきましょう。そしてメンバーそれぞれのインプットと見方を共有することで、自然と微妙な価値のチューニングが合ってきます。「こんなこともできるかも!」という発見はもちろん、ささいなことと思っていたことでも、発言して共感の声が返ってくることで埋もれていた価値に気づくことができます。

それでは実践編に移ります。

実践1は「違う視点でいっしょに共有するのがいい」です。

ステップ1でのインプットプラス自分の気づきや意見も合わせて共有しましょう。ただ情報を伝えるのではなく、自分の気づきを話しながら伝える事が大切です。その人のバックボーンが気づきに関係していることも多いのではないかと思います。

実践2は「知らなかった仲間の得意が見えてくる」です。

実践1では、チームメンバーの得意なことに気づくこともできます。これがわかることで、誰がどのポジションでどんな力を発揮してもらうとよいのかを考えるきっかけになります。実際に、レイアウトデザインが得意なことをみんなに伝えたことでワークショップのチラシデザインを任せてもらったことがあります。

実践3は「ささいな意見を言ってください」です。

そもそも自分の意見が言えない人が少なくありません。当事者なのに意見が言えないのは、正しく立派な意見しか言ってはいけないと思い込んでいるからです。この思い込みを解くために「自分だったらどうしますか?」と問いかけ、「しょうもないことでいいので」とうながす。このように実感からの気づきをききだしていきます。ささいな意見でも受け止めてくれる進行役がいると、話が盛り上がった経験が私にもあります。

実践4は「見て、触って、目の前で動かす」です。

現状を共有し課題を設定する上で重要なことは、その場にいる全員の目の前で見て触れる形で共有するということです。商品などの現物があるときはたくさん並べたり、自分の気づきを付箋に書きだし貼り出します。それを見ながら付箋やものを動かしたり、グループに分けて整理することで思い込みや固定観念がほどけていきます。同時に、今まで気づかなかったものごとの関係性を発見することもできます。

実践5は「ラクガキしよう、図にしてみよう」です。

情報を整理し他者と共有するには言葉だけでは伝わりにくいことが多いです。そんなときは図やラクガキして書き込んでみることが有効です。言葉で伝えることが難しいあいまいなことを伝えるときに実践しましょう。特に美大生は絵で描いて伝えるミーティングが多いです。

実践6は「他人がいることで「鳥の目」「虫の目」で考えられる」です。

ものごとを検討するときは接近して細かく見る「虫の目」と、離れて全体を俯瞰してみる「鳥の目」の両方が必要です。これはデッサンにも通用する視点です。全体のバランスも、細かな書き込みも美しいデッサンには必要な要素です。この二つの視点で見るには複数のメンバーが必要になります。そのために、どんなに小さな現場でも必ず参加する当事者は複数人にしておきます。

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