【UX SHIGA 第3回】─「調査の記述」

第3回目のUX SHIGAを10月12日(月・祝)に開催しました。
https://www.facebook.com/UX.SHIGA/posts/1632660413650235

151012_1

講義とワークショップの記録はfacebookページに書いたので、ここでは改めて実感した、UXデザインのスタートラインにある大きな2つの壁について書きます。

◎人の視野は簡単に狭くなってしまう

《UXデザインを学ぶために受講している》という目的がはっきりしているにも関わらず、ワークショップ開始時に「パッケージをデザインしましょう。」という言葉でスタートされると、いとも簡単に視野狭窄が起こり「モノ」のデザインを始めてしまう。もしこれが「パッケージを通したユーザー経験をデザインしましょう。」とか「パッケージを通したサービスをデザインしましょう。」でスタートされたら、多分しない行動。

講義で丁寧に説明していただいた調査と設計の間の溝よりも、もう少し手前にある認知バイアスの壁。多分、デザインを始めたばかりの学生さんよりも、私自身も含めて長い間デザインに携わって来た社会人にとってこの壁は高い。

この壁を乗り越えるためには、早く作ってしまいたい気持ちが前のめりになりそうなタイミングで「今、私がデザインしようとしているのは、モノなのか、人にとっての経験価値なのか?」と、自動的に問いかけてくれるアプリでも作ってアラームを仕掛けておく必要がある。つまり、常に自分自身(狭義のデザイナー)を俯瞰して眺めるもう一人の自分(UXデザイナー)。

◎個人の常識的な意識・感覚は、組織の意思決定プロセスの中で簡単に失われてしまう

ペルソナのインサイトやゴールを考える際には、「そんな時にそんなことをする人は本当にいるのか?」と、個人としての常識的な意識・感覚で問いかけることが必要。

グループワークを行なっていると、個人としては疑問に思いながらもつい空気を読んで同意してしまうことがある。ふわっとした合意で形成された初期設定が間違っていた場合でも、ステップを踏むことによってなぜか組織の中の個人としてはそれが正しい前提であると感じるようになってしまう。これは、ワークショップに限らずあらゆる組織で起こりがちな罠。ごく普通の感覚が組織の意思決定プロセスの中で簡単に失われてしまう。

この罠にとらわれないようにするには、「それって普通?自分は本当にそう思える?」と組織の頭ではなく個人の頭で考えて、もし前提が怪しければ遠慮しないで早めに問いかける必要がある。

懇親会で浅野先生からお聞きした『10番目の男(全員の意見が同じになりそうな時に、真っ向から反対意見を言う役割を担う人)』の話がまさにこれ。同調圧力によって引き起こされるリスクを避けるためのルールを、予め組織として持っておくと無駄な手戻りが防げそう。

◎9コマシナリオについて

たくさんの発見がありましたので、後日別記事に書きます。