11月22日(土)に、常葉大学造形学部の安武伸朗准教授を講師にお迎えして、公開講座「情報を可視化してビジネスの生産性を上げるRTDの可能性」を行いました。
40分間の講義に、リアルタイム・ドキュメンテーション(RTD)とグラフィック・レコーディング(GR)2つのワークショップを加えた3部構成。一般参加の17人と成安造形大学の学生18人に加え、常葉大学から8人の学生の皆さんにご参加いただき、13:00〜17:00という長丁場でも時間が足りないくらいの熱気あふれる公開講座になりました。
【第一部】講義
安武先生の講義はまず、ユーザー・エクスペリエンスを生み出すためのデザイン思考の大切さからスタートされました。そして、
- そうした共創的なワークショップにおけるRTDの役割
・思考プロセスの可視化による合意形成サポート
・目的や手法理解の状況指摘を通したファシリテーション
・事後のリフレクションに利用して学びを深める効果
- 記録手法の種類と適性
- 合意・理解・共感を生み出すしかけ
等々、まさに「情報を可視化してビジネスの生産性を上げるRTDの可能性」を具体的に解説していただきました。
そしてこの講義の間、常葉大学の西村奏美さん・望月香那さんの2名が別々の手法を用いてリアルタイムで実演。
付箋紙の使い方や発話の取捨選択状況などの技術をその場で見ることができました。
書き方は異なりますが、両方共要点が押さえられていてわかりやすいです。
【第二部】発話の構造化ワークショップ:付箋紙を使用したRTD
ワークショップはまず、二段階の練習から始まりました。
最初は質問と答えのはっきりした会話、その次にフリーな会話を、時間・発話・ふるまい・特記事項の4種にわけて付箋紙に記録してA3用紙に貼っていきます。
中には講義のメモが既にグラフィック・レコーディングになっている参加者も。
ホワイトボードには望月さんと安武先生による模範解答も同時進行で貼りだされていきます。
2つの練習は時間が来たら隣の人とピア・レビューして確認しました。
それが終わるといよいよクリエイティブ・ディスカッションに対するRTDを行います。
出された課題に対してディスカッションをするグループと、付箋紙を使ったRTDするグループに分かれて15分間ずつ、ワークを進めます。
安武先生は各チームを回ってアドバイス。
時間が来たら出来上がったウォールを使ってリフレクション。
そして、ディスカッショングループとRTDグループを入れ替えて、別の課題に対して同様のワークを行っていきます。短時間で同じことを立場を変えて行うことで手法に関する理解も格段と深まります。
簡単な練習問題からステップアップすることも、立場を変えてのピア・レビューもそうですが、こういうきめ細かな配慮でワークショップの充実度や演習の定着性を高められているんですね。ほんと、勉強になります。
議論の展開が整理されたウォールを確認すると、クリエイティブなディスカッションにRTDが役立つことが実感されます。
【第三部】文脈を絵画化するワークショップ:模造紙に描くグラフィック・レコーディング
GRも簡単な課題の練習からスタートします。
まずは、成安造形大学のHPから引用した課題。
HPに掲載された学長のテキストを、要素に分解してイラストレーションを使用して表現していきます。
抽象的な概念は比喩やデフォルメを使い、文脈の中での関係性を矢印や囲みで表し、複雑な内容はテキストで補います。
目に見える短い文章でありながら、様々なGRが出来上がっていました。
そして再びチームでのワーク。3名の会話を聞き取りながら付箋紙にメモする人とそれを参考に描く人に作業分担してグラフィック・レコーディングを行います。
今回は時間が足らなかったので5分ほどの短い会話が対象でしたが、セリフを使用したり、枠線や強調色を使った画面内での視線誘導などが取り入れられていて、各チーム、それぞれ特徴のあるペーパーができあがりました。
最後はサンドイッチを食べながら1時間ほど懇親会を行いました。
ご参加いただいた皆様、ご指導くださった安武先生・西村さん・望月さん、お疲れさまでした。
皆様のおかげで、学びの多い公開講座になりました。ありがとうございました!
そして次の日……
【カスタマージャニーマップのワークショップでRTD】
常葉大学の学生さんたちが、11月23日に京都で行われたUX KYOTOのセミナーでもRTDを実演してくださいました。
セミナーには本学の学生や卒業生も参加。カスタマージャニーマップを使った潜在ニーズの探索にチャレンジしました。
そして、こちらがワークショップのRTD。この2枚はつながっています。会議の状況がとてもよくわかります。
常葉大学の学生さんたちのリフレクションの際の指摘は、いずれも的を射ています。
RTDやGRを学ぶことは、単に記録するノウハウを身につけるというようなことではなく、頭と手をフル稼働させて共創の場をクリエイトしていくことなのだということに、改めて気付かされました。
UX KYOTOと当日の詳細についてはこちらを御覧ください。
・UX KYOTOブログ
http://uxkyoto.hatenablog.jp
・UX KYOTO facebookページ
https://www.facebook.com/uxkyoto?hc_location=timeline
・情報デザイン研究室(講師の浅野先生のブログ)
http://asanoken.jugem.jp/?eid=3246
・UX KYOTOに学生スタッフとして参加している荒井菜那さんのブログ
http://arai-nana.jugem.jp/?eid=12
2014.12.03[水]04:46 | Graphic design,UI Design
午年らしいので、象形文字から馬をアレンジして天馬を描きました。
左下に配置したテキストは多分だれも読めないと思いますが、気持ちを書いてみたものです。
2014.01.01[水]08:00 | Graphic design
あけましておめでとうございます。
今年の目標は、<楽しく>デザインすることです。
デザイナーとして。
ここ数年、仕事に関しては何となく迷いがあって今ひとつ乗りきれなかった部分があったのですが、昨年末頃からいろいろ考えた結果、健康関連サービスに関して、初心に帰って仕切り直すくらいの気持ちで取り組みたいと思うようになりました。いろんな制約に関してちょっと面倒に感じてきていたのかもしれません。自分の中での制約は一旦取り外さないと。
教員として。
学生の皆さんに「デザインって楽しい!」と感じてもらえるように、私自身も「楽しく」デザインしようと思います。
というわけで、今年は賀状2つ作りました。
今年もよろしくお願い致します。
2013.01.01[火]03:14 | Graphic design
1月に「3ヶ月×4手帳が欲しい」というエントリーを書いたのだけど、なんと、その日記を見ていた卒業生Iさんがオープンキャンパスの時に届けてくれた。
これ、全部手作り。自宅のプリンタで印刷して、糸綴じで製本した上製本。世界に1セットしかない4冊。
しかも、手作りの箱入り!タイトルはホットスタンプ風の手描きでシルバーとゴールド。
Iさん、ありがとう!
こんな貴重な手帳、とても使えないと思ったんだけど、やっぱり使ってこその手帳だから、使わせていただきますね。
ほぼ日のWeeksに書いてた予定、ほぼ写し終わりました。
使った感想はまた改めて。
2012.07.28[土]20:00 | Graphic design
カメラ付きモバイル向けコンバージョンレンズ:ClipShotっていうガジェット。
iPhoneにはクリップで取り付けできるようになっています。
近いところが見えにくくなってきたからねえ(^_^;
ClipShot、思った以上によく見える。ほんと、ちっちゃいからって侮れません。
下の写真は、上の写真でClipShotを乗せている今年の手帳の12の部分。手触りまでわかるでしょ?
次は今年の年賀はがきのマークとロゴ部分の拡大。(クリックで拡大します)
ちょっと見だとマークもロゴも両方黒ですが、実は4色の写真版にしてるところと、K100のテキスト部分は違うんですよねぇ。いえ、だからどうってことは別にないんですが。
ついでにその辺にあった雑誌も撮ってみました。
ピント調整がちょっと難しくて合わせ切れないのが少し悔しいのだけど、1700円でここまで見えたらパフォーマンスOK。誰かアダプタ作ってくれないかしらん。でもって、印刷チェック用のルーペと網点分析ソフト付きのアプリとかどうでしょうか?そのくらい、もうあるのかなぁ?
2012.01.03[火]17:25 | Graphic design
新年おめでとうございます。
昨年の年賀状はちょっと暗かったので、今年は思いっきり明るいデザインにしました。
このデザイン、見たことある人は(ごく少数ですが)見たことありますよね(笑)
実は、昨年のヒューマンインタフェースシンポジウムのポスターにオーバルプランから応募したものをリサイクルしたものです。
昨年の卒業式の日に起こった大震災。
晴れやかなパーティーでお酒を飲みながら津波の映像を見てしまった。
誰にとっても忘れられない日になった3.11。
何ができるんだろうと考えてきた2011。
ボランティアで現地に行こうと何度も誘われたりもしたのだけれど、体力全然ないし、現場で役立つような技術ないし、わがままだし、恐がりだし・・現場派ではないとつくづく実感した日々に、「ポジティブ」をテーマに東北で開催されるシンポジウムのポスターを考えるのは、自分にとってはちょっとだけ救いになりました。
もともと2011年のシンポジウムは東北大学で開催予定でテーマも最初から「ポジティブ」でした。最初のサムネイルを作ったのは3月8日で震災直前。自分で見ても「テーマ、ポジティブ?うん、まあ、そうだよね。」っていう範囲のデザインですね(笑)
ま、サムネイルはともかくとして・・・
震災後、一時は東北での開催も危ぶまれたものの、HISシンポジウム2011は場所を変えて仙台国際センターで開催されました。残念ながら後期授業の初日とかぶってしまって行けませんでしたが、盛況だったようです。
ポスターのコンセプトシートに書いたテキスト、再録しておきます。
離れた人やモノをつなぐこと。
それがインタフェースの役割。
多くの地域が被災し、
多くの人やモノが分断された今だからこそ、
より豊かに、より暖かく、
私たちはつなぎ直さなくてはならない。
ネットワーク技術を携え、
ポジティブな希望と意志を持って、
人の力をつなぎ、
人の心を支えあう、
そんなヒューマン・インタフェースを考えよう。
そんなこんなで今年の初ブログは年賀状の背景をご紹介してみました。
できそうだと思ったことにちょっとだけでも参加しつつ、毎日を誠実に過ごしていきたいと思っています。
旧年中はいろいろお世話になり、ありがとうございました。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
あ、ちなみに、ヒューマンインタフェースシンポジウム2011で採用されたポスターは、オーバルプランの川上修平さんデザインのカリグラフィー案でした。こちらは、「ポジティブ」というテーマを全面に出した、力強くて素敵なデザインです。
このポスターのもうひとつすごいところは、印刷しないでPDFで配布したところ。必要に応じて必要なサイズで必要な数だけ出力してもらう。これも一つのデザイン提案だと思いました。
2012.01.01[日]17:03 | Graphic design
gggの第281回企画展「北川一成」、28日の最終日に行ってきました。
1階には大型プリンタで出力された作品群。
フライヤーの表面に使われていた鳥と魚モチーフのモノクロームの作品は、近くで見ると半端じゃないテクスチャー。ビロードのように立ち上がっていて不思議な物質感。隣のAZ企画の名刺オブジェ?は手書きでの塗りつぶし?いずれの作品にも、紙や印刷物を平面には終わらせないぞという強い意志を感じました。GRAPHの制作物で多用される金や銀の素材が、立ち位置によって表情を変え、反射によって見る側との会話を迫ってくるのとはちょっと違うアプローチですが、黒や白が青が静かに語りかけているって感じです。
大学の新しいロゴや90周年のマークも大きく展示されていました。
地階では空間全体を使ってタイポグラフィ作品群を中心にした映像インスタレーションを展開。壁とそこに貼られたメタリックな素材が光を吸収したり反射したりして様々な表情に。(設営風景を見ると手貼りのようです。)
ところどころに来場者の立ち位置をセンシングしてインタラクティブな反応をする場面もあり、とても面白かったです。
2009.11.30[月]00:19 | Graphic design,Memo
センシング技術の進歩によって、見えるところでも見えないところでも様々なデータの収集が行われています。
個々のデータには大きな意味がなくても、多くのデータの偏在状況を観察したり・経時変化を辿ったりすることで、注目すべき意味が浮かび上がってくる場合があります。
データの集まりを整理して、その意味をわかりやすく読みとれる形にすることが情報デザイン。行と列の項目を決めてExcelで単純に表組みするのだって、もちろん情報デザインですが、グラフにしたりダイアグラムにしたりすることで、情報は一段と直感的にわかりやすくなります。
このサイト:information aestheticsには、こうした情報デザインの秀逸なサンプルが多数収集されています。
特に、時間の推移とともに変化する情報や、分散する多数のセンサーから収集された情報は、ネットワークに繋がったWebサイトならではのダイナミックな表現で可視化されています。
2009.11.04[水]01:12 | Graphic design
小林章さんの欧文フォント・ワークショップが開催されます。
日時:2009年10月24日(土)・25日(日)2日間
午後12時30分〜6時30分(両日とも)
会場:東京工芸大学 中野キャンパス 1号館3F
ビジュアルコミュニケーションコース PCルーム
定員:16名(先着)
参加料:40,000円(2日間)
主催:NPO法人 東京タイプディレクターズクラブ
詳細は下記で確認してください。
http://www.tdctokyo.org/news/index_j.html
2009.09.16[水]17:42 | Graphic design